骨付

依然と「テイクアウト」が好調と聞いた。本市も店舗への給付金とは別にその形態を支えるべく新たな補助制度を創設するとか。あくまでも個々の嗜好の話にて口挟む理由もないのだけれども、どれほどの高性能レンジとて「出来たて」にはかなわぬ、場所変える手間は億劫、と私も店内派の一人。何よりも過剰包装は地球環境によくない。「成功はゴミ箱の中に」って本があって、著者のレイ・クロックはかのマクドナルドの創業者、というか、その名を冠した兄弟から経営権を取得して脚光浴びた御仁なれど現職の大統領をして現代版クロックと陰口が囁かれているとか。

あの白いスーツの御老人の人生に興味が無かった訳ではないのだけれどもその味を知らぬは肩書が泣く、と言われぬもこの齢にして初めて「オリジナル・チキン」なるものを口にした。勿論「骨付」。今や多くのファンを魅了してやまぬ企業を創業したきっかけはサンダース・カフェが業績不振に喘ぎ、売却して借金を返済、無一文になった際に手にした月額一百五ドルの年金だったとか。詳しくは「六十五歳から世界的企業を興した伝説の男」との副題が添えられた「カーネル・サンダース」(藤本隆一著)にて。

閑話休題。さすがにマスクほどの遅達はないはずもモノがモノだけに。あれだけの騒動を目にすれば職員とて故意に遅らせようなどとの意識は生まれるはずもなく、些かの憐憫の情に駆られつつも下す指示はやはり「一日も早く」。迷走の末に「特定」「世帯」から「一律」「個人」への大転換。個人か世帯か、収入か所得か、その捕捉とて完璧はなく。

「特定」とするにそこに入るか否か、入らねば生じる嫉妬心。一寸、垣根を越えただけでビタ一文も貰えぬは不条理、問われる垣根の根拠に妥当性、背伸びしてでもそこに入らんとする執念は粉飾を生まぬとも限らず。ならばいっそ「一律」「個人」に給付したほうが煩わしさが省ける。それこそが判断ってもので。決断は瞬間なれど、それに伴う負担は少なからず。当初は「特定」とされた対象者の抽出に日夜追われし職員たちの涙ぐましい奮闘は徒労に終わるも「一律」とあらば垣根に関する問い合わせの心配なく、ひとまず安堵...でもなかった。

ネットを駆使すれば手間省ける上に早期の支給が可能。一刻も早くと踏み切りしオンライン申請にはマイナンバーカードが必須。新たな申請に暗証番号を失念された方々が区役所の窓口に殺到して混乱を招いたとか。その元帳は住民基本台帳、いわゆる「住基」ってやつなんだけど、住基といえば個人情報の壁に阻まれて未だ全員を網羅するに至らず、後の申請書の送付及び支給の確認の際の台帳は別物。つまりは優先権こそ付与されたものの、オンラインの申請を受けて別の台帳との突合は人海戦術にてそこに生ぜし膨大な事務負担。

全ての申請書の送付が完了したことに伴い、オンライン申請の停止を決定したとの報告を受けた。堰切るが如く初日に一万件を超える申請が寄せられて以降、累計五万件近く。急かした方とて申請日こそ早かれど実際に手にした日付はそれほどでも...。財源は国なれど支給を担うは地方自治体。目先しか見ぬ判断は後の悲劇を生みかねず。それぞれに負担と疲弊多き数ヶ月では無かったか。

(令和2年6月15日/2576回)

川崎市議会議員 山崎なおふみ

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