比例

候補者の氏名の前に積まれた山は一束五百。厠の窓から落とされた紙片を手に一目散に公衆電話へ。事務所で待機する支援者たちが固唾を呑んで見守る中に鳴り響く電話。抜いた抜かれたの緊張感こそ選挙の醍醐味...なんてのは昔の話。いまや午後八時の時報とともに「過半数獲得」、「某氏当確」なんて字幕が踊る時代。
情勢分析とて優劣のみならず数字にまでなっちゃう訳で。「無視」、いや「目が合わぬ」だけで左右される位だからそんな数字がアテになるはずもなく、そんなものに振り回されるのはスマホ依存症の現代人が如く好かんなどと我関せずでいたんだけど、相手候補に十ポイント以上も離されていると叱責されて、そっと隣のHセンセイに意味を聞けば得票数に換算して悠に一万票以上だとか。
政権交代に敗北必死とされた当時の現職などはいち早く敵前逃亡、急ごしらえで擁立されたのがおらが候補であって、そんな候補だから当時の大敗以降も敗北を重ね、辛うじて「比例」で救われる戦績。そんな弱小候補が勝つ為には...。伏龍こと孔明が劉備に授けた天下三分の計が如く第三の候補者に賭けていたものの、今回は意中の候補に辞退されてしまったもんだからまさにがっぷり四つのガチンコ勝負。
されど、当人の見えぬ努力が実を結びつつあってか、粘り強い、というか「しぶとい」。惨敗であれば迷いなく代打なんだけれどもジリジリと差を縮めつつある惜敗なもんだから今回こそ勝てるやもしれぬと期待を抱かせるに十分、届きそうな目標があれば不思議と士気は上がるもので。ポイントが並んだなどとの風評を信じて迎えた最終回。まさに九回裏二死満塁で回ってきたおらが候補の打席。何度見ても結果は変わるもんじゃないけどやっぱり敗因を分析せねば次に繋がらぬ。
おらが選挙区は大雑把に申し上げれば二つの区の合計なんだけど、前回などは隣区で五千票で勝ったものの、私の区では一万票で負けて全体で五千票の負け。ならば今回はどうか。隣区はやはり勝ちながら三千票差に縮まり、当区は負けたもののやはり五千票差まで縮んだ。つまりは...。三振こそ無かったけれど相手の好プレーに阻まれて。
まぁ所詮はそんな候補だから「またか」という声もあれば元々「比例」だから今回は随分と追い詰めたではないかと、本人の人柄も手伝ってか好意的な評価も少なくなく。ちなみに「最下位で良かった」というのが私の初当選後におけるおらがセンセイの評価であって、勝ってエラぶらず、謙虚に受け止め、日々精進を怠らず。ならば接戦を制した向こうはどうか。相手とて旋風に今回こそは大勝をと目論んでいたものの、追い詰められて僅差の逃げ切りの思わぬ誤算に忸怩たる...いや、知らんよ、顔合わせた訳ぢゃないから。
ということでまたもや「比例」。小選挙区で負けた候補が惜敗率で復活当選を果たす「比例」に投げかけられる疑念。私とてそんな恥を晒してまでみっともない話があるかっ!なんて思う一人だったんだけど、こと、ここまでの僅差だとやはり勝者が全て独占は日本の文化に合わぬのではないかと都合よく解釈してみたり。それにしても三度目の「比例」、三度目の正直ってのはあるけど、あれとて三度目「には」って話だから...。
(平成29年10月25日/2388回)

川崎市議会議員 山崎なおふみ

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