採用枠

うだつ上がらぬ今と違って古巣ではそれなりの数字を残してきたはずなんだけど、前職時代のE兄から今こそ天職などと言われて何とも複雑な気分。今以て当時の顧客と御一緒させていただくというのは冥利に尽きるもので、酒を酌み交わしつつ、昔話に花を咲かせ、「今日の勘定は私が...」なんて。勿論「私」は向こうだよ。
当時はシステム担当の主任だったMさんもその後は企画畑を進み、海外経験なども積まれて今は人事の課長職にて自ら採用枠を有する最終選考の面接官だとか。今の仕事こそ当落上で救われたものの新卒時などは父の勤務先すら不採用だった訳で就職の面接は私には鬼門。
こんな御時世に半人前の学生が内定を貰えたからにはその御恩は生涯忘れず会社ひいては社会の為に粉骨砕身...となるべきも折角の内示を断る事例も少なくないとか。が、それ以上に人事課といえば巷で騒がれる働き方改革ってのが至上命題だそうで。
そもそもに時間外勤務は断固許さんという労働者側の従来の言い分と渡りに船と余計な支出を減らしたい経営陣の意向、それに「改革」で実績を上げたい為政者側の都合が折り合った産物にて面と向かって異を唱えるもんではないけれどもそのへんの事情を知らず鵜呑みにしては逆に成長を阻害しかねず。
時にその残業代こそが貴重な財源として家計を潤わしてきた一方、それに対する上の寛容さが会社への忠誠心という見えない価値を生んでいた訳で劣悪な実態は是正されねばならんのは当然にせよ過ぎてはどうか。と、そのへんに人事の苦悩が...。
が、それ以上にやはり働かざる者食うべからず、家族の為に寸暇を惜しんで働いた勤労観こそが今の日本の地位たる所以であって、そこに日本人は働き過ぎて余暇が足りんなどと言われてもそりゃ価値観の押し売りというもんであって他国の嫉妬心に国益を損ねやしまいかと危惧してならず。
そう、兵站なくして軍事は語れず、モノの流れを見れば世の動きが分かる。物流こそが経済の根幹であって、鮨に代表される食文化に見るまでもなくその類稀なる国民性が育んだ物流システムは他国の追随を許さぬものながらも昨今などはその世界に冠たる物流が米国のIT企業に牛耳られてしまうとは何とも忸怩たるもので...。課長の在籍は誰もが知る一部上場の物流大手にてそんな業界動向も聞かせていただいた。
人工知能と訳されるAIなる語が巷を席巻し、消滅する可能性の高い職業とともに語られる未来像はおよそ当たらずとも想定しておいて損は無い訳で、仕事そのものが無くなっては元も子もなく。労使対立の隙に忍び寄る本当の脅威。
機械化が仕事を奪う、それは産業革命の際に危惧されたことだけど、紡績機の普及により労働力が節約されたものの、大量生産による製品の低廉化が実現、それが更なる需要と別な雇用拡大に繋がった。そのへんに淡い期待を寄せてみたりもするのだけれどもAIの技術進歩が描く未来やいかに。
そうそう、別な話に夢中になるあまり課長の採用枠に肝心の私の余剰分はあるのか確認するのを忘れてしまった。
(平成29年9月15日/2378回)

川崎市議会議員 山崎なおふみ

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