夢枕

あのセンセイが生きていれば...。死して尚話題に上がるとはそれだけ惜しまれた人物であったことの証左。が、話題どころか夢枕に立つとあっては決して寝心地のいいものではなく、それ以上に現世に未練を残して徘徊されたのではかなわん。この十月の三回忌ではさすがに念仏こそ唱えぬまでも墓前にて「二度と立つなよ」、違った、「安らかに成仏を」と念入りに手を合わせたんだけど、聞けば夢枕は私だけではないらしく...。
講釈じみた上から目線の解説は「嫌み」に聞こえなくも...いや、やはり「嫌み」なんだけど、それが許されるのも当人の人柄の賜物。佳人薄命、そんな人物に限って迎えが早いもので当人が御存命中の頃に比べてセンセイが小粒になってやいまいかと。かつてはその言動の一挙手一投足に注目されたもんだけど、今や注目されるのは質問の内容ならぬ時間位なもので...アイツ早く終わるかナ、そりゃ私だけか。閑話休題。
投票率の低迷が顕著な今日において政治参加の意義が叫ばれるも笛吹けど踊らずにて一向に改善の兆し見えぬ元凶はどこにあるのか。何でも手に入る飽食の時代、成熟した国家ともなれば政治が果たすべき役割は希釈されてその裁量の余地が狭まる。有権者の投票行動とて全体の利益以上に個の利益が優先されるのみならず、利益を得る以上に損なわれる時に過敏に反応しがち。その典型がカット法案であって兎にも角にも「損をする」ことだけがことさら強調され、現政権を転覆させたい別な力学が追い討ちをかけることで鬱憤のみが募る負の構図に。
が、発展途上国や復興の過程ともなれば政治の役割は大きく、とりわけインフラ整備などはその典型例。最近いただいた相談に都市計画道路を巡るものがあって、敷地の一部更地の部分が道路計画に含まれることから市に買収してもらいたいのだが何とかならんかというもの。都市計画道路はその名の通り都市計画法に位置付けられた都市部の幹線道路なんだけど、総延長が長すぎることから効率的に整備を進める為に計画期間を10年間とした道路整備プログラムが策定されていて、道路用地の買収はその範囲内に限られるというのが市の言い分。
道路を作るとの名目で他人様の土地に利用制限をつけておきながら「今はまだ買収できぬ」と半世紀も手つかず状態な上に固定資産税などはちゃっかりと徴収されているのだから当事者からすれば何とも理不尽な話であって、やると線を引いた以上は何としてでも実現してもらわねばとの声がある一方で、中には終の棲家を立ち退けとは言語道断、絶対に譲歩せぬと反対の御仁も居られる訳で。
「おい、どうなんだ!」と迫れば、(プログラムの)計画期間は10年ながらも5年後に見直しがされるので...と、どうやらその時に当該個所を紛れ込ませてと言いたいらしいのだが、5年後にはアンタは異動しておるだろうに。それも邸宅であればまだしも地主が売却を希望する更地位は範囲外であっても責任を持って買収するとか固定資産税の減免位の便宜を図っても罰は当たらんと思うけど。
役所の勝手が生んだ利害の対立に当事者と向き合う市の姿勢が問われている。
(平成28年11月29日/2307回)

川崎市議会議員 山崎なおふみ

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