世捨て人

リオパラも開幕。地元のYさんに誘われて月1回の障害者と高齢者のスポーツ交流に御一緒させていただいているんだけど、前日から降り続く雨は止んでもグランドに残る水溜り。「さすがに今日は...」と半ばあきらめかけていた矢先に視覚障害者のTさんが介助者とともに顔を見せた。「今日はやらないんですか?」。ここ何度か御一緒させていただいているんだけど、いつも前向きで積極的なその姿勢に教わることは少なくない。
「悪銭身に付かず」とはよくいったものであぶく銭は消耗が早く、額に汗した金銭は裏切らない、などと勝手に信じていて...。「今日の夕飯はコレ」と、たったそれだけの投稿が一回ウン万円という芸能人ブログ。あのチャリティ番組の出演者などとてもノーギャラとは思えぬ訳でどうも好かん。地元の授産施設で売られている英字新聞を再利用したバックがお気に入りなんだけど1個10円。それが彼らの労働の対価、つまりは工賃なんだよナ。
「措置」などといわれると本人の意思を無視した隔離を連想しがちだが、措置から支援へと大きく転換を遂げた障害者施策。バリアフリーだ、ノーマライゼーションだなどと耳触りのいい言葉のみが聞こえてくるが、遅々として進まぬ受け皿を見れば単に安からぬ施設の費用を削減したい役所の都合ではないかと言われてもやむを得ないかも。そんな時代に翻弄され続けてきた現場の苦悩と葛藤はいかばかりか。
あごにひげを生やした世捨て人、いや、仙人のような格好の施設長は市の退職組にて当時から随分と世話になった。当人曰く、現役時は福祉全般を経験したがこちらが最もやりがいがある分野だと誇らしげに語るのだが、目が合うたびに施設の老朽化をこぼす。地元の篤志家が提供した広大な敷地に建設された川崎市授産学園。授産施設には珍しい天体望遠鏡は篤志家から寄贈いただいたものにて今もそちらの天文観測は大人気。障害者の居住棟こそかろうじて耐震基準を満たしているものの、管理棟などは補強が利かぬほどひどい状況にて施設内の道路などは地盤沈下と思しき亀裂が入り、地面と建物の間には数十センチの空洞が...。
障害者の授産を目的に作られた施設もはや35年、入所者の最高齢は80歳、「平均」年齢52歳だそうで。医療の進歩が長寿命化をもたらす一方で本来ならば入るべき介護老人施設が見当たらない。世捨て人、否、施設長の人生集大成?のその計画案には過去の学園設立までの経緯と今後の目指すべき将来像が描かれていて。中でも障害高齢者の為の施設の必要性はこの夏の予算要望ヒアリングを通じておらが会派内の合意形成が得られた項目の一つ。
川崎市ろう者協会の事務局長とのやりとりが記憶に残る。聴覚障害者のコミュニケーションは手話が必須にて一般の特別養護老人ホームなどの受入は当然のことながら難色を示されるのだとか。が、近年はそんな方々への支援の輪が広がりを見せ、数年前には専門的な施設の開設に結び付けた事例が埼玉県内にあるそうで。百聞は一見に如かずと早速に仕事の合間を見つけて現地を訪ねれば、アポなしにも関らず聴覚障害の施設長自らが手話通訳者を伴って迎えてくれた。

川崎市議会議員 山崎なおふみ

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