一両損

それほど理不尽な要求はないエリア(のはず)なんだけど閑静な住宅街の玄関先に貼られたシール。さすがに文面こそ工夫されているものの、似つかわしくないシールに断固たる決意が窺い知れる。良好な住環境を守る為に...との汗と涙の結晶を反故にするかのような開発に住民から「待った」がかかった。
戸建て10軒の開発計画において1区画あたりの面積が基準の坪数を下回ることから最低面積を確保した上で開発を進めるようにというのがその言い分。が、1区画の面積を増やすとなると逆に全体の区画数は減らさねばならず、駅近物件なことも災いしてか...。そんな合意など知らず今さら変更出来ぬと聞く耳持たぬ相手。それが地元を良く知るはずの大手M不動産の関連会社なもんだから余計に憤懣やるかたない様子にて市議会宛の陳情が届いた。
開発絡みは最終的な許認可権を有する市が断然に優位な立場にあるものの、相手方に法的な瑕疵、つまりは違法性が無い限り、不用意に許可を遅らせれば逆に訴えられかねず。今回の住民合意はあくまでも法的拘束を有さぬ紳士協定というのが市が伝家の宝刀を抜けぬ理由であくまでも道義的責任をタテに業者側に見直しを迫るのだが、相手も相手でそのへんの事情をよく知るだけに手続きを着々と進めて外堀を埋めていく。
昨今はドブ板が如く白黒で判断出来るもの以上に様々な事情が複雑に絡み合った案件が少なくない。そのへんどう折り合いをつけるかってのは机上の知識以外に相手との信頼関係も大事なんだけど、不必要に騒ぎを大きくする連中というのはどこにでもいるもので当事者でないことをいいことに「私だったら許可しない」などと正義のヒーローを気取られたりもするから...。
私が逆の立場なら憤慨するけど役所もそんなセンセイ方相手によくガマンしてるよナと。されど、市とて「合意を知りつつ」事前協議に応じていた訳でその過程において相手に何らかの譲歩は迫れたはずだからそのへんキツく言い含めておいたけど。
さて、9月定例会が開幕。今回の議案には小児医療費の助成年齢の拡大が含まれる。一般的には就学前は2割、小学生以上は大人同様3割負担ながらも各自治体で「独自の」助成がされていて、その格差がことさら大きく取り上げられる。そんなことからこのたびの議案では小3までだった対象年齢を小6まで拡大した上で小4~6の利用者には一部負担(5百円)を求める内容なんだけど市長の公約には「無料化」が謳われているだけにやれ公約違反だとか負担は許せんとか。
それこそ三方一両損の折衷案であって従来よりも自己負担が軽減されるはずなのだが、不都合な事実は隠されるから何か新たな負担を課せられるかのような論調というか世論誘導はさすがに慎むべきではないかと思うけど。さりとて、そんなくだらん矢面に立つ市長も本来は国が負担すべきものを市が負担しているんだなどと胸を張ってみるが、国からすればそちら(=自治体側)の勝手な判断で支出している訳であるし、当人の腹中には次回の選挙の「票」なんてのも少なからずある訳で、さすがにそりゃ些か虫が良すぎやしまいかと思えてしまうのだが...。

川崎市議会議員 山崎なおふみ

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