払拭

「雨のせいで十日も空いちゃったよ」とこぼすセンセイに、まだ十日「しか」ってほうが適切では...。いや、折角の機嫌を損ねるのは得策ではない、言いかけて止めた。そう、御大の趣味の話。
「忙しそうですな」と御心配をいただいて、「要職を拝命しているもんですから」と返事をすればどうやら個人的なことではなく、事件、事故が続く本市を憂慮されてのことらしく。役所の不祥事というよりも民事的な色彩が濃い事案にて槍玉に上げられる宿命は不運といえば不運だが、市内の出来事だけに緩慢な姿勢は許されるものではない。
で、その一つ、全国ニュースでも報道された幸区内の有料老人ホームにおける事故。昨年末の2ヶ月間に入居者3人が相次いでベランダから転落死されていたことが報道で取り上げられ、事の重大性から何とか代表質問に含めよう画策をしたんだけど既に通告〆切後との理由から新たな追加項目は認められぬと議会局。ならば、それらしき項目、といっても市政全般を網羅した「新たな総合計画」の質問に「関連して...」と付した上でそっと忍ばせておいたんだけどボツに。すったもんだの結果、代表質問の当日に臨時の健康福祉委員会を開催し、そこで報告を受けるということでようやく折り合いがついた。
多額の公費が投入される特別養護老人ホームと違って有料老人ホームは開設時に届出を受理する位で、開設後は事故報告書や監査に関する権限を有しているものの、その対象数は有料老人ホーム130施設以外に諸々を含めて対象施設は約2千施設。市はどこまで把握していたのか、市の監査は適正に行われていたのか、未然に防ぐことは出来なかったのか等々。詰め寄せる報道陣のカメラが回る中、追及の矢面に立たされ、釈明に追われる課長は実直な性格にて日々の勤務態度は良好なだけに些か気の毒。
警察の現場検証によれば3件の転落死はいづれも事故と結論付けられていてウラもとってあるだろうからさすがに他殺ってことは無いんだろうけど。とすれば、ベランダからの転落死に120cmの柵を自ら乗り越えた動機は何か。あくまでもホームズ好きの私の推測にしかすぎんけど、施設側の対応を虐待とは言わぬまでも当事者が明日に希望を見いだせなくなっていた可能性はないか。とりわけ3件目の転落事故の当事者は96歳の女性であって、その日付は12月31日なだけに偶然にしてはあまりにも出来すぎてはいまいか。
はたまた性善説に立てばたまたま「し忘れた」ということになるんだろうけど事故報告書が市に提出されたのが翌年の9月、そう、つまりは今月に入ってから。その前の2件についてはいづれも事故後直ちに提出されていただけに...。故人の御冥福を祈らずにはいられないが、と同時に人の根源を深く考えさせられる事案ではないかと。

川崎市議会議員 山崎なおふみ

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