県費

忠誠誓いし派閥の領袖への叛旗。良心の呵責に苛まれつつも貫いた正義。本来の職務以上に別な方面で秀でた才能を見せる運転手曰く、白無垢ならぬ純白のスーツに身を包む姿はあのセンセイがモデルに違いない、と。土壇場での主人公の登場に動揺を隠せぬ幹事長、庇わんとする委員長にしがらみ捨てた大臣がとどめの一言。「恥を知りなさい」って、その決め台詞はやはり。ということで今回も懲りずにその話題から。

見事射止めた悲願の要職に挑む公約は「不妊治療の保険適用」。子を持つが当然の風潮に周囲からの冷ややかな視線は過去ほどではないにせよ当事者にしか知り得ぬ苦悩。地獄の沙汰も銭次第なれど人の生死を金銭で解決出来れば、と涙を呑んだ方とて過去に少なからず。医療倫理が絡むだけに里見先生の所見を待ちわびているのだけれども未だ触れぬにその奥深さが窺い知れて。

本市とて手をこまねいていたものでもなく特定不妊治療助成制度を創設して既に十五年、昨年度の決算額は三億九千万円也。医療の進歩に伴い、出産時のリスクも低下。適齢期を逸せどもそこに望みがある限りは...。従来の保険適用外とあらば治療費は高額になりがち。患者の足元を見透かされて暴利を貪る悪徳医が居らぬとも限らず。そこは医者の良識を信じるしかないのだけれども人知を超えた世界が存在するだけに。

受験ならば合格率一割に無謀な挑戦と知るも子宝となれば話は別。一縷の望みを託せども「叶わぬ」宣告を受ける、いや、受け続けねばならぬ患者側の落胆いかばかりか、されど、そんな苦悩は医師側とて同じ。必死の相手を前に結果を伝えるは役回りは酷。費用対効果などと他と同列に論じえないと知りつつ、まずは自治体が既に進める助成制度の検証から試みてはどうか。不足する財源に制約が課せられ、何かと使い勝手が悪かったりもして。

そう、隠居のSさんから久々に着信があった。「インフルエンザの予防接種が無料って聞いたけど」。そう、市内在住の高齢者の方々の予防接種の窓口負担がゼロに。と、自らの手柄が如く語ってみたものの、十月以降は高齢者の自己負担分を県が負担して下さることになり。およそそんな時は「政令市を除く」なんて差別的条項が付されたりした過去もあったのだけれども今回は県下一律。さすがは政令市の県議の皆様、というかそれがフツーにて。

そう、こちとら「既に」市費は投じられており。本来ならば約五千円とされる接種費用、自己負担二千三百円を除く差額は市の負担にてその額は年間三億六千万円。故に本市とほぼ同額分を県が負担して決着、と見るは早計。何と申しても「無料」になる以上、接種率も上がる、というのが世の常識。これまでおよそ四割で推移してきた接種率を七割と見込む。つまりは本市とて足りぬ三割分は追加の予算的な措置が必要となり。巷間、接種にまつわる言説は様々、あくまでも予防の範疇にて万全ならず。こと最近は罹患後の治療薬とて格段の効能が見込めるからナ。

そう、県費なだけに都内はダメであるし、最近は完全予約制だったりもするから。くれぐれも事前の確認をお忘れなく。

(令和2年10月5日/2598回)

川崎市議会議員 山崎なおふみ

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